司法博物館

長野県にある松本市歴史の里は、戦前の裁判所や少年刑務所の独居房や旧昭和興業製糸場などがある施設です。場所は以下の所になります。私は戦前の裁判所(法廷配置図)を見に行きたくて、松本まで行ってきました。

【場所】〒390-0852 長野県松本市島立2196−1

 

松本市歴史の里のWEBページには以下の様に建物を紹介しています。

【県宝 旧長野地方裁判所松本支部庁舎】
明治41年、松本城二の丸御殿跡に建てられた裁判所です。内部・外部ともに完全な形で国内に唯一残る、明治憲法下の和風裁判所で、長野県宝に指定されています。
              (松本市歴史の里のWEBページより)

 全景はこんな感じの建物です。

戦前の裁判所建物としては、愛知県の明治村にある宮津裁判所法廷があるのですが、こちらの建物の方は、法廷以外にも色々なものが残っているところに特徴があります。(明治村の方は法廷を見る事ができますが、司法博物館の方は内部に入って色々と見学することができます。)

戦前の司法制度は、完全な三権分立が実行されたものではなく、例えば検事(現在の検察官に相当)は、各裁判所に付置されていた。そのため、この裁判所にも検事の部屋が存在します。

さて…様々な部屋(検事廷や予備廷、検事の部屋)などがあるわけですが、今回の目玉は、明治期の法廷です。それが下のです。

配置が不思議だと思いませんか?学生にきくと壇上にいる3名が裁判官・検事(検察官)・代言人(弁護士)だと思う人が多いようですが、実は違います。配置はこのようなものになっています。

壇上に判事・検事・事務官が座っていて、下に被告人と代言人(弁護士)がいるという構図になっています。これは裁判官と検事が形式的には分化していますが、検事と弁護士との間で有罪か無罪かを争う『弾劾主義』ではなく、国家が被告人の犯罪を裁く『糾問主義』的な法廷構図になっています。

当時、工業高校で授業をしていたので、生徒たちに写真をみせたとき、かなり驚いていました。現在の法廷配置図との比較を通して、刑事裁判の意義や意味を考えさせることができると思います。

司法博物館の写真を用いた授業については、下の冊子で紹介しています。
【参考】(加納が一部を執筆しています)
 猪瀬 武則(2012)『究極の中学校社会科―公民編』日本文教出版

【参考】司法博物館公式WEBページ
   松本市歴史の里

                       (写真撮影 2009年頃)