模擬裁判のやりかたについて(岐阜県・可児工業高校実践)
法教育は学校教育において様々な分野で取り組むことができます。そのなかでも刑事裁判に関わる取り組みは、注目されることの多いところだと思います。小中高の公民系分野の裁判員制度の学習でも重要なものになると思います。また、法教育は参加型学習であることを言われている以上、知識面だけでない学習も重要になってきます。裁判員の学習では模擬裁判や模擬評議などを行う学校も多いと思います。以下に示す方法(裁判所見学など刑事裁判に関わる学習)は、私がやったことのあるものです。難易度に差がありますが、自分たちで模擬裁判をするというのは一番やりやすい方法だと思います。
表1 刑事裁判に関わる学習の方法と難易度
方法 | 難易度 |
---|---|
裁判所へ行く(刑事裁判見学&裁判官講話など) | 難(日程調整及び費用面) |
模擬裁判選手権に参加する(高校生の場合) | 難(結構、出場にハードル高い) |
法学部などがある大学へ行く(模擬法廷を使わせてもらう) | 難(日程調整及び費用面) |
ロースクールや大学法学部の学生に来てもらい模擬裁判をおこなってもらう | 中? |
自分たちで模擬裁判をする | 易 |
そこで今回は、2009年に可児工業高校で取り組んだ実践を通して、模擬裁判の会場作りの方法などをご紹介したいと思います。
会場作りについて(被服室になった理由)
模擬裁判をどこで行うかは、結構、頭の痛い問題である。教室に行うとすると、場所を取り過ぎて、傍聴人の入る場所が無い。体育館みたいな大きすぎる場所では、準備が大変。図書館は?などなど色々と悩みました。
しかし、あるとき、家庭科の先生が「被服室は実習の時以外には使ってないから、模擬裁判に被服室を使っても良いよ」と申し出があり、即座にお願いをしました。教室によっては、ある時期に使ってある時期に使わないという部屋もあるみたいです。そのため今回は、被服室を利用させてもらいました。
どのように机などを配置するか?
部屋に入ってみると下の図のような形で机が配置されていました。当時、可児工業高校は選択の授業が多く、家庭科でも少人数授業が行われていました。その関係で、ゼミ形式風の配置になっていたのだと思います。(少し記憶が曖昧ですが…)
生徒用の作業机が後方にあって、どうしたら良いのかなと思いました。最初は教壇の上に裁判官を座らせて、下に検察官・弁護士・被告人を配置しましたが、しっくりこず。理由は傍聴席(生徒席)から検察官と弁護士、そしてなにより被告人の顔が見えない!これがしっくりこない理由でした。そこで…図2の配置にしてみました。
ポイントは教壇の机を移動し、教室から小さい机をもってきたところ。教壇上に検察官・弁護士・被告人席を配置しました。すると、裁判官役の後ろにすわっている生徒にもみやすいではないですか?ということで、この形で模擬裁判を行いました。以下に、実際の模擬裁判の様子をご紹介します。
実際の模擬裁判
模擬裁判は当時、お世話になっていた朝日大学の学生さんたちが中心になって模擬裁判を披露していただきました。
生徒たちは裁判官の後ろにすわって、裁判員の視点から裁判に参加しました。
熱心にメモをとる姿もみられました。
ちなみに当日はNHKの取材も入りまして、生徒の話し合い活動の様子を取材してもらいました。
最後に自分たちで評議した内容を発表するという形式で授業をしました。
別の機会に取り組んだ裁判の内容などを紹介しますが、場所については結構なんとかなると思います。ぜひ、模擬裁判にとりくんでもらえたらと思います。
(実践年:2009年 岐阜県立可児工業高校・加納担当
協力:朝日大学法学部「劇団朝日」メンバー・大野正博教授)